穴水町新行政改革大綱
はじめに
地方分権一括法の施行により、地方の裁量は拡大する一方で、急激な少子・高齢化の進展や厳しい経済状況による町税の大幅な減収、地方交付税制度の改革などにより、町財政はこれまでにない厳しい環境下に置かれております。
加えて、行財政基盤の強化と行政改革の切り札として推進してきた、近隣自治体との合併は諸般の事情によって実現が困難となったところであります。
これにより、当面は、単独町制のもとで住民へのサービス水準の維持と質の向上を着実に実現していくためには、行財政運営の一層の簡素・効率化の推進が喫緊の課題であります。
本町においては、これまで改革を推し進めてきたところでありますが、このような町政を取り巻く諸情勢のめまぐるしい変化の中で、町民のニーズや新たな行政課題に適切に対処できる行財政運営体制を確立するための指針として本大綱を策定し、改革の実践と行政サービスの向上に全職員が一丸となって取り組んでいくこととしたものであります。
新たな大綱の策定にあたって
平成11年3月に改定した大綱に基づいて諸改革の推進に努めてきたところでありますが、地方分権の進展や国、地方を通じた厳しい財政状況などに加え、行政改革に対して、住民の厳しい視線が向けられております。
こうした中、国では「地方公共団体における行政改革のための新たな指針」を策定し、新たな視点に立って不断の取り組みを求めていることから、これまで以上に計画的な行政改革を推進し、住民へのサービス水準の維持・向上に努めていく必要があります。
この度、策定いたしました大綱では、現下の状況に対応するため「効率的でわかりやすい組織体制の在り方」、「人材育成の推進と職員定数の適正管理」、「厳しい環境下でも持続可能な財政基盤の確立方策」、「町有施設の効率的な管理と経営の健全化」を重点項目として、点検・見直しを進めることとしたものであります。
1. 基本理念
効率的な行財政運営と住民サービスの向上を目指して
2. 基本方針
基本理念のもと、次の4つの柱を基本方針として、住民との協働により集中的に実施する。
- 簡素でわかりすい組織体制への再編整備
- 職員の意識改革と定数等の適正化
- 持続可能な財政基盤の確立
- 公の施設管理の効率化と経営改善
3. 行政改革の実施方法
- 実施期間
平成17年度から平成21年度までの5年間とする。 - 行政改革の進行管理
行政改革の進行管理は、総務課で行うこととし、行政改革推進本部を中心に全庁的な体制で推進する。
また、実施計画の策定にあたっては、住民や議会等からの意見、提案を反映させるものとする。 - 実施計画等の公表
実施計画及び実施状況については、各年度毎に公表するものとする。 - 大綱の改定
実施期間中における社会経済情勢の変化等によって、新たな課題に対応する必要が生じたときには、適切な改定を行う。
4. 行政変革の主要事項
(1)簡素でわかりやすい組織体制への再編整備
社会情勢の変化などにより多様化・高度化する行政課題を的確に把握し、迅速で質の高い行政サービスの提供を実行できる、簡素でわかりやすい組織・機構の構築を図っていくものとする。
1. 役場組織等の再編
- 組織再編の推進
教育委員会事務局の再編(H17年度 2課制を1局に再編)
組織の追加再編(事業担当部門 など) - ワンストップ化などの促進と業務の効率化
所管業務の見直し(福祉業務の一元化 など)
事務執行規則等の見直し(決裁区分 など)
窓口時間等の見直し(戸籍等の受付時間の延長、能登有料道路通行券の取扱い場所を4公民館に設置 など) - 重点施策に対応できる組織機能の強化
防災、徴収業務、少子高齢化対策の担当部門などの強化 - 公民館機能の向上などの検討(再編整備 など)
- 公の施設の管理運営体制等の点検
指定管理者制度の導入に向けた調査・検討(H18年度に制度導入予定)
2. 人事制度の改革
- わかりやすい職制への改革
現行職制の在り方の検討 - 人事評価制度の点検、昇任試験制導入に向けた研究
- 登用の在り方の検討
能力、成果を重視した登用
3. 組織の活性化
- 業務担当期間の平準化
- 職員提案制度の充実と積極的な採用
- グループ制の活用
- 各課等に行革担当を置く
- 服務管理の徹底
4. 事務事業の効率化
継続的に実施している事務事業の全般にわたって、必要性、緊急性、行政効果等を検証し、一層の整理合理化と簡素・効率化を図る。
- 事務事業の整理合理化等によるコストの縮減
- 類似、関連する施策・業務の一元化
所管業務の見直し(再掲) - ITの活用による事務等の効率化
電子入札、電子申請導入の研究 - 住民との協働体制の整備・充実
パブリックコメント制度導入の検討
広報、ホームページの充実による情報の提供機能の強化
5. 審議会、委員会等の再編
審議会等の統廃合及び定数等の見直しなどを行う。
- 審議会等の整理・統合と委員定数等の見直し
審議会、委員会の整理統合の推進
委員定数及び報酬の見直し
委員の選任方法等の検討(公募制の導入、女性選任の拡大 など)
(2)職員の意識改革と定数等の適正化
職員の意識改革や能力開発を目的とした研修制度の充実、資格取得の推奨などにより、住民の期待に応えられる人材の育成に努める。
さらに、適正な定員管理は行政改革の重要な柱の一つであることから、業務改革の実践や適正な配置などにより、計画的に職員定数の削減を図る。
1. 職員研修制度の充実
住民の期待に応えられる職員の育成を目指して、意識改革、能力開発を重点研修項目として実施する。
- 民間的経営感覚の醸成、政策形成や法制及び情報処理能力の開発
- 職員の意識改革と接遇サービスの向上(窓口等のサービス向上 など)
- 関係機関への派遣研修の充実
- 庁内研修の実施
- 出前講座の開設
- グループ制の活用(再掲)
- 職員提案制度の充実と積極的な採用(再掲)
- 職員の資格取得を推奨
2. 計画的な職員定数の削減と職員費の抑制等
執行体制の効率化や計画的な職員定数の削減などにより、人件費総額の抑制に努める。
- 定員管理の適正化計画の策定
5年後の職員定数目標の設定(削減目標値の設定) - 給与、諸手当等の見直し
常勤特別職などの給与減額(H17年度から10%削減 町長、助役、収入役、教育長)
管理職手当の削減(H17年度から30%削減)
特殊勤務手当の見直し(H17年度 2件廃止)
時間外勤務の抑制
当面は収入役を置かず同職務代理者による対応
- 勧奨退職制度の活用
- 旅費制度の再点検
(3)持続可能な財政基盤の確立
住民へのサービス水準の維持・向上に配慮しつつ、事務事業の見直し、義務的・管理的経費の縮減、投資的経費の抑制などによって歳出全般の効率化を図るとともに、町税等の収納率向上策の強化に努めることなどにより、持続可能な財政基盤の確立を図る。
1. 公共投資の重点化とコスト縮減
地域経済等への影響にも配慮しながら、投資的経費の抑制と工事コストの縮減に努める。
- 投資の重点化などにより、町債残高を前年度以下の水準に抑制(臨時財政対策債を除く)
- 公共事業コスト構造改革プログラムの策定
- 町単独事業の効率的な実施方法の検討
- 入札制度の検討
予定価格の事前公表の検討
電子入札導入の研究(再掲)
制限付一般競争入札制度の導入に向けた検討
2. 義務的及び管理的経費の抑制
物件費などに節減目標を設けることなどによって、全般的な経費節減に努める。
- 職員費の抑制(再掲)
- 庁舎等の管理方法の再点検
業務委託契約などの一元化
委託業務の再点検 - 公用車の削減
- 需用費等の節減目標の設定
- 町債の償還期間の見直し
- バス運行の在り方の検討
3. 補助金、奨励制度の見直し
各種補助金等の役割、効果の再点検、時限性の設定などにより、総額の縮減を図る。
- 補助金等の効果、役割の再点検などによる総額の縮減
- 新規補助金等の抑制
新規の抑制(サンセット方式の適用 など)
4. 町税等の歳入確保と負担の適正化
自主財源と税負担の公平性を確保する観点から、町税、使用料等の収納率向上と受益者負担の適正化を図る。
- 町税の徴収率の向上
徴収業務の強化
徴収率目標値の設定(前年度水準の維持) - 口座振替納税率の向上
納税組合の解散時における勧誘 など - 住宅、水道使用料等の徴収率向上
- 職員駐車場の使用者負担制の導入(H17年度より実施)
- 受益者負担金、使用料等の再点検
- 税負担の平準化への検討
都市計画税の在り方の検討 - ゴミの有料化制度導入に向けた検討
5. 遊休財産の適正管理
貸与財産や行政財産としての活用が見込めない財産の処分などを促進する。
- 遊休財産の処分の促進
民間を活用した処分方法などの検討 - 遊休財産の活用方法の検討
6. 予算編成方法の見直し
経常的経費の削減や事務事業の見直しなど、財政構造の改革を推進するとともに、行政改革の理念や視点を踏まえ、予算要求に厳しい要求限度額を設定することなどにより、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努める。
- 管理的経費の節減 など
光熱水費、通信費等の節減目標の設定(再掲)
印刷物の発注方法の見直し
視察研修費、交際費などの節減
業務委託契約などの一元化(再掲) - 義務的経費の縮減
経常収支比率の改善目標値の設定
公債費負担比率の改善目標値の設定
町債残高を前年度以下に抑制(再掲)
町債の償還期間の見直し(再掲)
(4)公の施設管理の効率化と経営改善
既存施設の管理・運営の在り方、再編の必要性などを再点検するとともに、指定管理者制度の活用、委託する業務の拡大など、効率と経営的な視点により、最適な手法を選択することとする。
公営企業等についても、経営健全化方策の検討を行う。
1. 管理運営業務の民間委託の推進と施設再編
- 指定管理者制度の導入に向けた調査・検討(再掲)
各施設の管理の在り方を検証
指定管理者制度導入の検討(H18年度に制度導入予定) - 施設の統廃合の推進
小中学校の再編整備
その他施設の統廃合及び再編に向けた検討
2. 各事業の経営改善
- 職員の意識改革と接遇サービスの向上(再掲)
- 各事業の経営改善目標の設定
- 業務の民間委託の拡大
- 病院事業の効率的な経営に向けた対応
管理運営体制の再点検と経営改善計画の検討
医師等医療職員の確保対策の強化 など - その他事業の効率的な経営に向けた対応
下水道の接続率向上策の検討(啓発活動の推進 など)
利用者ニーズに対応した柔軟な事業運営(ゴルフ練習場 など)
周辺施設等と連携した利活用プランの策定とPR活動の強化